理事長所信(2026)

意見書

 

 

 

 

 

一般社団法人佐野青年会議所
第61代理事⾧ 飯塚 拓也

【プロローグ〜人との繋がり~】

いつも誰かが助けてくれた
いつも誰かが支えてくれた
いつも喜びのそばには仲間が一緒だった
いつも何かを成し遂げた時には仲間が一緒だった
人が生きていく中で人とのつながりは無くならない
人とのつながりがあるから喜び 笑顔になれる
人と助け合えるから大きな成果を手にすることができる
人を思いやり 尊重するからこそ信頼が生まれ仲間となる

信頼し合える仲間がいるから新しい一歩を踏み出すことが出来る

【仁愛の精神】

 仁愛の精神とは、他者への愛を個人だけでなく地域や社会へと広げていこうとする「行動」や「姿勢」である。「愛」の持つ個人の感情が中心となった心と、人々を結ぶ道徳的な心を持った「仁」が合わさり、「仁愛」となった思いから始まる人との調和は目的へと向かい大きな成果へとつながっていくのだ。

〜仁愛の精神から生まれる仲間との協奏、動き出す協働〜

【終わらない歌】

青春時代、夢中で聴いたTHE BLUE HEARTS。今でもあの曲を耳にするたびに胸が熱くなる。
「クソッタレの世界のため」「僕や君や彼らのため」「すべてのクズ共のために」初めて聴いた当時は、強い反骨心を帯びた刺激的な言葉の数々に衝撃を受けた。今では、荒ぶる心を抱きしめるようなこの曲こそ、ロマンチックな歌だと感じられる。
 なぜならば、それは理想と現実に対するもどかしさ、声の届かない仲間たちのため、そして社会的に弱い立場に置かれた人々に寄り添おうとする愛の言葉だからである。各方面に散りばめられた歌詞は相手の立場になって考えることで生まれた言葉に他ならない。
 彼らはお互いを尊重し、信頼し合っている。なぜなら、彼らの楽曲はメンバーがそれぞれ自分の役割を果たしつつ、仲間の表現する演奏を信じて任せるスタンスで作り上げられているからだ。そして純粋な心で社会を変えたいというメンバーの目的が重なり名曲が生まれる。彼らの楽曲は思いやり、すなわち「仁愛の精神」が根底にあるからこそ多くの人を魅了し、影響力を持ち、今でも伝説的なパンクバンドとして語り継がれている。世界を憂い、信頼できる仲間と奏でる彼らの歌は今でも世界中に愛を訴え続けている。
 そもそもバンドとは、楽器を合わせ、思いを歌に乗せて伝える「協奏」の形である。そこには仲間を信頼する心がなければきっと名曲は生まれない。思いやりが、一体感を育み、その一体感が人々の心に響く歌を生み出す。そしてひとりの想いが共感を呼び、個性が調和し、同じ夢に向かって行動する姿が「協奏」となり、やがて終わらない歌へと広がっていく。
 「仁愛の精神」は、まず身近な人との関わりから生まれ、やがて多くの人々へと広がっていく。やさしさや思いやりの連鎖が「協奏」を生み、社会全体へと伝播し続けるとき、それは人々に愛を奏でる「終わらない歌」へと昇華していく。
 「終わらない歌」とは理想に向かって歩み続ける終わらない旅である。理想のために愛を届け続ける大切さを示す姿は、まさに青年会議所の運動に重なる。彼らの社会へと訴え続ける歌はいつまでも私たちに愛の姿勢を教えてくれる。これからも理想のために思いやりの協奏を続けていこう。

同じ心を持った青年たちは理想のために仁愛を奏で続ける。

〈理解し合いともに協奏を続けるまち〉

 社会課題が複雑化、多様化する昨今、私たちが目指す「幸せ溢れるまち」は、誰もが安心して住み暮らせる社会を思い描くことから始まります。そこには子どもから高齢者、多様な文化や背景を持つ人々が、互いを認め合い、ともに未来を思い描き、未来へと行動し続ける姿があります。多種多様な人々が住み暮らす現代において、同じ目的を持つ人々が想いを「協奏」し、未来に向かってともに歩み「協働」することが、これからのまちの理想の形なのです。そしてその根底にあるのは、目の前の人を思いやり、困難なときに手を差し伸べる「仁愛の精神」です。この精神が広がり、まちの未来を願う人々が、同じ志を「協奏」させ、ともに歩む「協働」。これこそが、私たちが理想とするまちづくりの姿です。
 これまで市民活動を牽引してきた私たち佐野青年会議所は、この「協働」のプラットフォ
ームとなり、その輪を広げていきます。一過性の活動に終わるのではなく、まち全体を巻き込む大きなインパクトを生み出すために。そして持続可能な地域社会を築くために。市民一人ひとりの意識を変え、信頼できる仲間とともに未来を創造する。そんな「協働のまちづくり」を、佐野青年会議所は実践していきます。
 そこで、私たちだけでなく、まちの発展のために活動している人々や市民と、「佐野市の明るい未来」のためには何が必要かを話し合う機会を提供します。そして様々な主張を尊重し合いながら導き出したまちへの思いを形へと繋げていくことで、「協奏」と「協働」を実現します。人々がお互いを理解し、手を取り合い、まちの未来のために共に創り上げていく姿こそ、理想となる「仁愛の精神」からなる「終わらない歌」となるのです。

〈仁愛の精神を持った人財の育成と開発〉

 現代社会はSNSを中心とした情報環境の発展によって、誰もが容易に多くの知識や意見を手にできるようになりました。その一方で、真偽の曖昧な情報や心を傷つける言葉が広がりやすく、人々の間に不安や分断が生まれているのも事実です。だからこそ今、人としての心の正しさを持ち、他者に思いを寄せ、周囲を導ける存在が求められています。
 私の考える理想のリーダーとは、人に愛情を注ぎ、仲間や地域に寄り添い、信頼を得ながら歩みを進める人です。その姿は、人とのつながりを大切にし、相手を尊重しながら歩む姿勢にあります。
 佐野市も人口減少や若者流出、外国人との共生、少子高齢化といった多くの課題を抱えています。こうした課題を前に、我々青年会議所の役割は、人と人とが支え合い、導き合える人財の「育成」と「開発」です。そのために本年度は、青年会議所メンバーにとどまらず、市民の方々も対象とした研修事業を実施します。
 まずは、人と人との結びつきの大切さに触れ、互いに助け合い認め合う関係を体感します。日常を少し離れ、同じ時間と空間をともにすることで、普段は見えにくい相手の思いや温かさを感じ取り、人として大切な姿勢を心に刻みます。さらには、自らを振り返り、静かに心を整えながら他者への思いやりを深めます。語り合い、心を通わせる時間を持つことで、相手を尊重し、信頼を育む姿勢を学び取ります。
 こうして培った心の在り方は、一人ひとりにとどまらず、家族や仲間、地域社会へと広がり、やがて人と人とが信頼でつながる協奏を生み出していきます。そして、その歩みを重ねた人こそが、地域を先導するリーダーへと成長していきます。
 本年度、我々は人としての在り方を基盤とし、未来を担うリーダーの育成と開発のために、メンバーと市民がともに学び、ともに歩む研修事業を展開してまいります。

〈信頼し合い、成長する組織〉

 佐野青年会議所は設立から61年目を迎えました。これまで先輩方が大切に育んできた想いと歩みを、私たちの世代が受け止め、しっかりと次代へつなげていく責任があります。し
かし、それを守り伝えるだけでなく、これからの地域を支えていく青年世代から理解と共感を得られ続けるために、私たちは常に成長し続けなければなりません。青年会議所は地域を先導し、社会に向けて声を発し続ける団体です。その使命を果たすには、まず組織の内側に強固な信頼と一体感を築くことが不可欠です。
 組織とは仲間であり、その仲間と共に大きな成果を生み出すには信頼が必要です。仲間を尊重し、理解し、支え合う心があってこそ、安心して意見をかわし、互いを信じて、ともに歩むことができます。その姿は、まるで楽器の音色を合わせ、同じ旋律を奏でる「協奏」のように、調和の中から力強い響きを生み出します。
 真の信頼関係を築くためには、それぞれの環境で根ざした経験を尊重し合い、対話を通じてより良い未来について語り合うことが欠かせません。一人ひとりが現状の組織体制に責任を持ち、仲間と共に磨き上げ、成長していく。その積み重ねが強固な信頼関係を育み、やがて「ワンチーム」としての協奏を可能にします。そしてその響きは、地域を先導し、社会へと発信し続けるための確かな土台となり、成長し続ける組織を形づくるのです。
 これからも続く「まちづくり」と「ひとづくり」は、仁愛の精神を根底に据えた「組織づくり」から始まります。私たちは真の信頼関係を築き、未来に向かって共に歩みを進めてまいります。

〈魅力を伝える拡大〉

 青年会議所の最大の使命は「明るい豊かな社会の実現」であり、そのために必要なことは、まちを支える「人財」です。私たちは仲間とともに経験を通じて成長し、まちへ貢献する喜びを伝え続けてきました。しかし、現在はそのような青年会議所の魅力を十分に伝えきれず、会員は年々減少しています。会員の減少は、未来のまちを担うリーダー育成の機会を失うことに直結します。会員拡大は単なる数合わせではありません。未来のまちを担う「人財」を一人でも多く創り出すことこそが本質です。だからこそ、人財の開発が重要となり、未来の同志のために魅力を伝え続けていく必要があるのです。
 まだ見ぬ未来の同志たちを迎え入れるには、まずは私たちが青年会議所としての、まちや人への思いを理解しなければなりません。それは青年会議所の魅力を知ることと同義です。なぜならば、私たちのまちや人への思いは「仁愛の精神」を軸とし、展開されているからです。他者を思いやる心が仲間を創り、運動を通じて人の意識改革につながり、まちを活性化へと導く形こそが青年会議所の最大の魅力なのです。その魅力を理解し、体験することで未来の同志へ伝え、共感してもらうことができるのです。
 仁愛の心で仲間を迎え、ともに歩みながら一体感を育んでいく。その一体感が人々の心に伝播し、共感を呼び、また未来の同志へとつながります。そして、途絶えることのない運動となって未来へ響き渡っていくのです。それこそが青年会議所の理念に基づいた真の会員拡大であると確信し、未来の同志を探し続けます。

【エピローグ〜自分が先頭を切る〜】
まずは自分から熱くなること
自分から動き出すこと
その姿を見て、冷ややかになったり離れていったりする人もいるだろう
だが同時にその想いを受け止めて、一緒に熱くなってくれる人も必ず現れる
表裏一体
〜吉田松陰〜

熱い心を持つ青年たちは無限の可能性を秘めている
そして必ず仲間は現れる
仲間となら何もこわくない
恐れずに進め!みんなで奏でよう!終わらない旅を!!
〜飯塚拓也〜

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